Omizu

カラマーゾフの兄弟のOmizuのレビュー・感想・評価

カラマーゾフの兄弟(1968年製作の映画)
3.5
【第42回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート】
『白痴』でドストエフスキー原作にした映画をつくった腕を買われてか、監督をしたのはイワン・プイリエフ。しかし撮影中にプイリエフがなくなってしまったため、主演のミハイル・ウリヤーノフとキリール・ラヴロフが引き継いで完成させた。それまでの映画化作品の中で原作に最も近いと言われている。

原作は流石に長すぎて読んでいないが、本作も約4時間という大作。映画としてまとめるのは難しい中、かなり頑張った映画化だと思う。

それぞれのエピソードを丁寧に描きつつ、終盤にいくに従ってダイナミックになっていく。終盤の勢いが素晴らしいと思ったのだが、もしかしてそれは主演の二人の演出なんだろうか。そうとすると、プイリエフ監督より二人の方が映画的センスは鋭いと思う。

イワンの悪魔との対峙シーンの画角、現れ方はホラーのように恐ろしかったし、イワンの裁判シーンの狂いっぷりも勢いがあってよかった。

性格も考え方も全く異なるカラマーゾフの三兄弟、そして身分さえ異なる四人目の兄弟。それぞれの愛憎を丁寧に描いた力作。正直唐突な展開があるのも事実で、ドラマでやった方がより伝わるとは思う。でもこの長く難解なドストエフスキーの小説を頑張って映画化したと思う。
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