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ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-のetcetranのレビュー・感想・評価

3.8
母親が主に怒りという毒で精神を病んでしまった原因は、複雑で複合的。 

更にその母であるおばあちゃんもまた一因。
この怒り、自分や社会への絶望感は代々受け継ぎ連鎖してしまうもの。と、言ってしまえばそこで終わるよね。育ちは変えられないものねー、なんつって。

J・Dだって自暴自棄の沼にはまってしまってもおかしくなかった。子供にとって母親が病むことほど辛いことはない。けれど彼が選択したのは絶望や諦めへの道ではなく、この苦しみがあったからこそ手に入れれるものもある、幸せの道の方だった。

モーテルのベッドで側にいてと震える頼りない母の手を、ふと離すシーンで彼の目覚めにも似た決意がよく現れていた。

おばあちゃんは娘に自責の念がありお前は頑張るんだよ、と孫に託した。私が孫だったらそれは愛情じゃない、利用すんな、と言いたくなるけれど。

この家族の怒り憎しみ、暴言の裏に漂ってるのは愛なんだよなぁ。
大好きエイミー・アダムスのさすがの演技にもまたやられた!
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