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私は確信するのmのレビュー・感想・評価

私は確信する(2018年製作の映画)
3.5
今作ですべてのストーリーを展開させる主人公、ノラがフィクションであり実際にこの事件となんら関係ないと知らされた時、今作の本質が明らかになる。裁判とはなんなのかを知ることができる作品。

スザンヌ・ヴィギエが子供を残し、忽然と姿を消した。夫ジャック(ローラン・リュカさん)に殺人容疑がかけられるが、明確な動機がなく、決め手となる証拠は見つからない。冤罪を確信するシングルマザーのノラ(マリアナ・フォイスさん)は、敏腕弁護士デュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメさん)に弁護を懇願。自らも助手となり250時間の電話記録を調べるうちに、新たな真実と疑惑に気がつく。そんなストーリー。

正直なところ裁判映画として面白さはなかった。既存作品とそんなに変わらない出来だと思う。最近見た『ブレスレット 鏡の中の私』のほうが好きだったのはたしか。
フランスで実際に起こった未解決事件ヴィギエ事件をモチーフにした今作。未解決ということで決着はつかないし、驚愕だったり出てくるキャラクター全員に共感だったりはできなかった。

ただ、エンドロールクレジットで今作の主要人物ノラがフィクションだと知らされる。事実に基づいた作品だったはずが彼女だけ架空の人物であり、脚色だった。
この違和感はなんだ?と考えたとき、今作の面白さに気付く。
今作の主題は【暴走】なのではないかと思った。

今作は夫であるジャックの主張はいっさい語られない。有罪か冤罪かを争うのに被告を作品から徹底に排除している。

そして明かされていく新事実。
冤罪であると主張するノラは事件にのめり込むあまり、たったひとりの大切な息子を蔑ろにしていく。

今作に出てくる事柄すべて、人間という個体が感情(正義感や憶測)をあらわにし暴走していく様を描いているものだったと思う。
被告人の弁護士であるデュポン=モレッティが唯一、中立であった。セリフや態度からも【裁判がどういうものか】というのを一貫して語っている。彼だけが暴走せず冷静だった。(被告人の弁護士だからジャックに肩入れしているのはあたりまえ)

今作は有罪、無罪どうこうより、裁判を通して暴かれる人間の内なる感情が、そして裁判とは、というのが主題だったのではないか。そう考えるととても面白い作品だと思うし、フィクションであるノラがスパイスとして効いてくる。
とても徹底された作品だと思う。
邦題『私は確信する』ってある意味傲慢で清々しいよね。邦題つけた人良いセンス。

私はじめてこんなハッキリとした、メルド!を聞いた笑
緊迫したシーンだったのに笑ってしまった。

ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★☆☆☆
メッセージ性 : ★★★☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/冤罪か、有罪か─。
 真実は二重の歪みにひそむ。
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