チッコーネ

私は確信するのチッコーネのレビュー・感想・評価

私は確信する(2018年製作の映画)
3.5
法廷ドラマを観ながら「実際に犯罪を犯したかどうかより、法廷ルール上で有罪か無罪かが争点?」というモヤモヤを感じることはよくあるが、本作のメインテーマは、その諸行無常。
「行動する一般人」のヒロインは、弁護士との間に横たわる埋めようのない断絶を、深夜のホテルではっきり突き付けられる。
弁護士の「戦い方」が最終弁論前夜に決まっていたことを考えると、二人の間には大人と子供ほどの意識差があった。

実在事件がベースとなっているほか、法廷場面とヒロインの実生活が並走する編集は濃密…、特に前半は横溢する秀作サスペンスならではの雰囲気に、ワクワクさせられる。
しかし、実を取るために何を捨てるべきかわからず、世知に長けた有象が蠢く中で諫められた愚直が、苦く切ない。
安易なエンタメに流れない分カタルシスは弱いが、地に足の着いた作風を選んだ監督は、しっかり初志貫徹していた。


『I Confess』を連想させる邦題は、作中(実在事件中)のデティールに引っ掛けられている様子。