うみぼうず

ある人質 生還までの398日のうみぼうずのレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
3.5
「城之内死す」「ガルマ 散る」「ヤムチャ死す」に通ずる、タイトルネタバレが甚だしい。 

あくまでも実話ベースのフィクションとして、映画として、だと 少し物足りない部分もある。家族愛に関しては見えている場面では皆けっこうドライ…残り時間僅かと言われた明朝が少し呑気過ぎでは…?もちろん奔走しているのはよく分かるが、各社に電話する場面など入れても問題ないのでは。
人質の過酷さの中に希望を見出すという点は、彼らの関係性は分からなくもない、という程度で淡々と表現されている。ラストに繋がる部分は確かにあるが、ドラマ性を敢えて出さないようにしているのかな。
なんとなく一番感じたのはやり場のない怒りのようなもの。テロリストに加担しない方針はその通りとも思うし、一方で自国民の命を守る政府も当然の役割と思うし。別にどっちを支持するわけでもない。家族を守りたい気持ちも当然だし、だからと言って国が間違っているとも思わない。そこへの問題提起的なメッセージ性の強い映画と思う。

もし自分が人質になったら家族には無理せずにいてほしいと思う。でも日本の"自己責任"論はあまり共感できない。自己責任だから見捨てて当然、じゃなくてそれでも何とか解決しようとするのが国だし、何とか助けたいと思うのが人間なんじゃないかな。あの辺の報道みて、日本人て冷たい人が多いなぁーと思ったのを思い出した。

と、映画に関係ない余談でしたが、映画から学ぶべきは「君子危うきに近寄らず」だなと深く思う。あとは「石橋を叩いて渡る」。自分だけ大丈夫なんてことはないんだと戒めたい。
うみぼうず

うみぼうず