みかんぼうや

ある人質 生還までの398日のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
3.9
ISIS(イスラム過激派組織)のテロリストに拉致され人質生活を送ったデンマークのカメラマンの実話ベースの物語。「ホテル・ムンバイ」を思い出させる、胃袋を握り潰されそうな緊張感と恐怖を終始感じる作品。

ISISの人質釈放による身代金要求というと、日本人2人が殺害された事件を真っ先に思い出し、本作鑑賞後に当時の事件について調べたが、その過程や政府の対応などは、まさに本作で描かれていた内容に非常によく似ていた。

当時のニュースでも、ISISの恐ろしさには震撼させられたものの、一方、今考えると自分の意識は日本国内で起きていた“自己責任論”と“人道論”の議論により向いていたように思う。が、本作を観て、改めてISISの常識が通じない憎悪に満ちた特殊な感覚と思考の恐ろしさ、各国政府によって異なる人質解放の身代金への対応、そして人質解放のために暗躍する人質解放の専門家の活動を知るとともに、当事者や家族目線でこの問題を改めて考えられたのは一つの大きな学びだった。

決して救出劇としてのサクセスストーリーでは終わることのできない、狂信的な人間の愚かさと恐ろしさを目の当たりにした作品だった。
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