ルサチマ

夕映え少女のルサチマのレビュー・感想・評価

夕映え少女(2007年製作の映画)
4.5
瀬田なつきの『むすめごころ』が突出してる。やはりこの頃の瀬田は凄い才能だ。
古めかしい格好に身を包んではいるが、場所も国籍も不明の無国籍な世界へと見事辿り着いてる。古典日本映画というよりは、台湾ニューシネマの匂いといっても良いような空間の切り取り方と編集だ。
重要なシーンで使用される長回し(時間の経過)もあれば、細かなショット/切り返しショットでの切断の編集もお見事。エドワード・ヤン的な校舎内での西部劇模倣による道化の切り返しなんて素晴らしいカット尻のタイミングによる編集とショットで、あの一連のシーンの中で2人の少女が肩を寄せ合い手を取り合って座る様子をバックショットで見せてしまう選択も的確且つ大胆で素晴らしい。

長回してのは的確なカメラポジションで切り返せる人間の特権だと確信させる撮影と編集に胸が高鳴る。

瀬田なつきの才能はサブカル愛好家のお洒落ポップカルチャー的アイコンとして消費されてはならないし、近年の瀬田作品を褒めてる人たちは、彼女の才能があんなもんじゃないこともちゃんと補足して欲しい。
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