エイデン

ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私のエイデンのレビュー・感想・評価

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24時間営業の雑貨店が併設されたガソリンスタンド“ガス・マーケット”に、若い女性メアリーが面接に訪れる
メアリーの記載した書類に、過去に有罪判決を受けたとあるのを見た店主のエドは、それについて質問
メアリーは言いづらそうに「彼氏に火を着けた」と答える
メアリーは2週間前に刑務所を出たばかりで、この店は保護観察官のトムが紹介してくれたものだった
エドも直感的にメアリーを気に入り、夜勤の仕事であることを確認して採用を告げる
早速 今夜から仕事をすることとなったメアリーは喜んで店を飛び出すと、友人のデビーが運転する車に乗り込み、12時半からお祝いのランチに行こうと誘われる
その前にエドと面談をするため一度 自宅へと帰ったメアリーは、バスルームで元彼氏のジェイムズが女性をバスタブの水に付けて殺害している様子を目の当たりにする
猟奇的なジェイムズの姿に気が動転したメアリーは、薬を飲んでこれが幻覚だと自分に言い聞かせるのだった
そこへトムが現れ、メアリーは何とか幻覚のことを取り繕う
トムはメアリーに対し、出所に反対している者もいるため、電話線を抜かずきちんと毎日 保護観察官の自分に連絡を入れるように注意する
かつてメアリーは、彼氏だったジェイムズ が連続殺人犯だったと知り、彼に火を着けてその犯行を止めたものの、以降 今は刑務所にいるはずのジェイムズの幻覚に脅かされていたのだった
その後 メアリーはデビーとの待ち合わせ場所に行くが、そこでジェイムズと同じレインコートを羽織った人物が自分を見ているのを目撃
デビーが現れたことでその人物は消えてしまうが、メアリーはまた不安に襲われてしまう
そんな彼女をデビーはランチで優しく慰め、過去に囚われるなとアドバイスを送る
再び自宅へ帰ったメアリーが電話線を繋ぐと、早速トムから電話がかかり約束を守ったことを褒める
その電話を切った直後、またも電話がかかってきたため出てみると、女性から「娘を見殺しにした」と糾弾される声が聞こえ、恐ろしくなったメアリーは電話線を抜いてしまう
しかしそれでも電話が鳴り、メアリーはパニックになりながら家を飛び出すのだった
そしてその夜 デビーの運転する車でガス・マーケットにやって来たメアリーは、先輩のボビーから業務について教わり、1人で夜勤の仕事に就くことととなるが、恐ろしい出来事が彼女を襲う
それは果たして現実なのだろうか



連続殺人事件に女性が巻き込まれるというスリラー映画の「その後」を描いた物語

残忍な事件に、恋人が殺人鬼というショッキングな展開、そして殺人鬼との対峙と決着
生存したスクリーム・クイーンを前に観客は拍手で大団円
なんていう古き良きホラー映画の展開も、現実だったら続きがあるわけで、そんなメタ的な視点を取り入れた作品
一つの大きな区切りがハッピーエンドに見えても、今後の人生がそうとは言えないように、殺人鬼から逃れた後もそうはいかない
残虐な事件や襲われたトラウマから幻覚を見るようになったメアリーの、現実と幻覚が入り混じる恐怖の一夜が上手いこと映像化されてる

目の前に現れるものが真実なのかがわからないという構成上、突飛なホラー演出も取れるあたりが有能
何なら悪夢の中を彷徨うくらいの大胆さがあってもいいようにも思ったけど、割と収まりのいい辺りでスリリングに魅せてくれる
一方で物語の展開としては終盤を映えさせるためのものだと思うけど、ちょっとやりすぎ感があるものもあったかな

最近の有名ホラー続編作だと、事件と折り合いをつけながら力強く生きる主人公の姿をよく見かけるけど、それとはかけ離れた現実的でダークなオチを持ってきているのは個人的には好き
基本的にはこういう話って傷ついた主人公の再生が描かれるものだけど、それを上手く逆手に取ってるようにも感じた

アイディアとしてはありそうで無かった良いものだけど、やっていることとしてはスラッシャー映画とそんな変わりがないっていう点は凡庸になってしまっているのかな
とはいえ普通にスラッシャー映画好きなので気にはならなかったけど
それよりもかなりの胸糞な展開が多いという方が気になったし、個人的にはむしろ評価点になってる
ちなみに原題は『Open 24 Hours』となってて、舞台となってるガソリンスタンドと終わりない悪夢のダブルミーニングを感じさせる点とかも好き
アイディアといいセンスはある映画だと思う
観ましょう
エイデン

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