さらまんだー

書かれた顔のさらまんだーのレビュー・感想・評価

書かれた顔(1995年製作の映画)
4.0

幽玄的に美しい坂東玉三郎の女型。

ドキュメンタリー方式となっており、
本人が女型に対する思いを語るインタビューは見所。
まずは自分に持ち合わせているものを理解することから始まる演技の基盤の構成。与えられなかった物や不条理に目を向けるのではなく自身を肯定することから始めるという姿勢は、人間としての極めて自然的な活動のように見え、無い物ねだり、見栄、抑えられない自己顕示欲、現代に蔓延る人間としてのもはや一般特性ともいえる性質とは乖離された崇高な人間像が垣間見える。
あたかも自然体で女性よりも女性らしい、一切の無駄がなく、役に憑依された姿を見ると、美を表現するということは、内的な崇高さが最も肝要なのだろうと感じる。
本人もインタビューで話していたが、
その人が所作をするだけで、あたかも別の空間が広がるような、この感覚が一流の役者なのであろう。
その所作、表情、足先から頭のてっぺんまで神秘的で思わず溜息が出るようなシーンの連続。
ポイントで登場する大野一雄の魂に動かされるような舞踏も見所。
さらまんだー

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