Fsuke

セブンのFsukeのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
5.0
“この世はすばらしい、戦う価値がある”

この街に絶望している人間達の闘い。
サマセットもジョン・ドゥも同じ様に絶望を感じている。
違ったのは、サマセットは絶望に向き合ったが、ジョン・ドゥは皆に知らしめようとした。
街に降り続ける雨のように。
この映画の中でミルズだけは例外だった。
人生はこの先も良くなると思っている若者。

この街は、社会は、人間はこんなにも醜い。
結果的に一時でも大罪を見せしめたジョン・ドゥはあの瞬間勝ったんだろう。
だからこそサマセットの様な人間は、最早闘い続けるしかないのだ。


今見返してみると流石にファンチャーの作品にしては、荒さも感じる。
観てもいない箱の中身が多くの人の記憶に残っているのは凄いけど、フラッシュバックで印象付けてるしな。
雨の止むシーンも昔は興奮したけど、めっちゃベタに見えた。好きだけど。
でも会話の観せ方は、「マインドハンター」に至るまで洗練され続けている。
この映画の一番良いシーンはサマセットを食事に招いた部分だと思う。
何気ない会話だけど、人の営みが垣間見える。
あのシーンがあるからこそ、この映画はジョン・ドゥという犯人のインパクトだけで終わる映画になっていないと思う。
Fsuke

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