空きっ腹に酒

セブンの空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
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生きてることは罪深きことなのかもしれない。と、まるでわたしらしくないことを考えてしまった。七つの大罪も、ダンテの神曲も、カンタベリー物語も、どれも内容はまったく知らないけど、まあこの知らない、という無知もまた罪なのかもしれないけど。欲のない人間なんているのかな。生きている限り、欲とともに生活している気がする、人間てもんは。普通に生きたい、と願うことすらも欲になる、んだよね。欲を持つことさえも罪になるのだとしたら、ひとが生きることはやはり罪なのだと思う。
ジョン・ドゥは、ミルズが羨ましかったんだな。結婚し、仕事をし、“普通”を生きる彼が、彼の真っ直ぐなところが、ジョン・ドゥにはないものばかりを持っていたから。でも彼に抱いた妬みもやはり罪だから、自分への罰を与えようと試みた、ピュアなミルズを挑発して、ミルズまでもを罪人にさせようと企てた。大切な人を失ったら、とても冷静でなんていられない、わたしなら間違いなくミルズと同じ選択をしてしまう、なんの躊躇いも迷いもなく、とても感情的に動いてしまうと思う。自分にはもう失うものがないのなら、心が望んだことをしたいと願うだろう、たとえそれが罪だとしても。
久々に観たけど、ああ、デヴィッド・フィンチャーの映画だ!って分かるオープニング、もう何年も前の映画なのに今観てもかっこいい。にしても誰も救われずやっぱり落ち込む作品。ひたすらに降り続けた雨が、ラストでは晴れてるのがなんとも皮肉に思える。
空きっ腹に酒

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