Lila

セブンのLilaのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
4.5
いま振り返っても没入できる作品です。最初に見た当時、強烈過ぎて何日間か引きずった記憶があります。フィクション映画の記憶じゃないんですよね。現実に起こったことのように、記憶に染み付いてる不思議な感覚です。

音楽や色彩の重なり具合もエッジが効いてて、デヴィッドフィンチャーの若かりしセンスと緻密さが大爆発してます。改めて確認したら公開当時35歳…30代前半!?キレッキレですね。その若さの荒削り感も少し感じられます。

これ以上のキャストはない!ブラッドピットの勢いと若気、モーガンの渋い哀愁、グゥイネスの切ない儚い目とケビンスペイシーの狂気、全員ハマり過ぎてます(ブラピとグゥイネスは当時お似合いでしたね)

何かのインタビューで見たのですが(いま調べるとこれが1番近い→https://ew.com/movies/2017/04/04/seven-se7en-ending/)、エンディングについては何パターンかあり、当初フィンチャーは銃声で終わらせたかったとか。プロデューサー側から「救いがなさ過ぎる」と止められ、最後のナレーションシーンを追加したみたいなエピソードがあります。救いがあるのかは難しい…ですが、あのままケビンスペイシーが目を閉じて銃声だけで終わられたら、このレベルの結末を委ねないでくれと悶絶してました。プロデューサーの存在は大事ですね。

印象深いシーンは、クライマックスの音楽と砂漠の雰囲気、一瞬フラッシュするグゥイネスの瞳。あとグゥイネスがモーガンに会いに行って、涙ながら訴える「I hate this city」あんなシンプルで切実な訴えにシンクロできるのがニューヨークの厳しさ、激しさ、暗さ。しとしと雨が降り続け、ゴミが投げ捨てられ、クラクションの音が鳴り響く。美しく華やかな側面あっても、気を抜くと、すぐそのダークな顔覗かせるのがニューヨークだと思ってます。

配信映画やシリーズ系とかまだなく、ハートフルで見やすい構図の映画が多かった90年代。公開した時代やタイミング、キャストの旬さとフィンチャーの新進気鋭さが上手く合致した、センセーショナルな作品でした。
Lila

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