まい

ルーナのためにのまいのレビュー・感想・評価

ルーナのために(2020年製作の映画)
3.8

インドのジラニア村で産まれたルーナちゃんは重度の水頭症を患っていた。
最大94cmまで膨れ上がった頭、だけどその日暮らすのが精一杯な生活を送る家族にとって手術の費用はとてもじゃないが出せない。

ある日、村を訪れたカメラマンがルーナちゃんを撮影し紙面に載せた事で莫大な拡散力を果たしニューデリーの医師から手術の話を持ちかけられ母のファテマは生きる希望を見出す。

懸命に生きたルーナちゃん、そしてその家族と仲間達の日々を追ったドキュメンタリー作品。


最初に出てきたルーナちゃんはまるで人形のようだったんですが
度重なる手術を受け、徐々に豊かになる表情や表現力、泳ぐように覗く綺麗な瞳がなんとも愛らしく思えました。笑顔がほんとに素敵な可愛い女の子。


最後の手術を前に母親のファテマが躊躇してしまうのですが
たった40分ほどしか見ていない私にさえ
先延ばしにしてしまうファテマの気持ちが痛いほど伝わってきました。

もし、成功しなかったら。
もし、目を覚まさなかったら。

もう、会えなくなったら。

もう、二度と抱きしめてあげられなくなったら。

度重なる手術に打ち勝ったルーナちゃん、
だけどその度リスクの大きさは計り知れない。
その度ファテマの不安は半端なかっただろうし、その不安に耐えれる強さって多分なかなか持てないと思う。
最悪の事態はすぐ目の前にあって
希望だけを胸に行動するのにも限度がある。

ただ、生きてほしい。
出来ることなら、他の子と同じように遊んで、走り回って、お喋りをして
髪の毛を伸ばし、お洒落をしてお勉強をして沢山笑って泣いて怒って
可愛い娘の成長をこれからも見させてほしい



母親にとって当たり前の願いが詰まりに詰まっていて
ラスト、ファテマの泣き叫ぶ声には胸が詰まった。
まい

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