たった12分のショートアニメでこんなにも心を動かされるとは思わなかった。
夫婦の時間は娘と過ごしたあの頃から止まったままのモノクロで、娘と過ごしたあの頃は今でも色鮮やかに思い起こされる描写が美しく、物寂しかった。
大切な人を喪っても残酷に時は進む。その中でそこで時間を止めてずっとその時間にしがみついて生きていようが、前を向いて日々を歩んでいこうが残酷に時は進む。
ただ、前を向いて生きていたとしても後ろを振り返ることはできる。前に進むということは大切な過去を置き去りにすることでも、鍵をして大切に閉じ込めておくことでもなく、何度でも振り返り、心を燃やし、生きる糧とすることなのではないだろうか。
喪った、あるいは別れた者たちへの感謝と共に、今を共に生きる者たちへの感謝の念を心に再確認させられる名作であった。
