阪本嘉一好子

Wajma, an Afghan Love Story(英題)の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

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この映画では何年の話だとは書いていないが、この作品は二千十三年の映画で、監督はアフガニスタン出身でパリに在住の監督だ。映画の内容からして、主人公ワジマWajmaの父親は軍で働いていても、アフガン戦争時代の映画ではない。今は二千二十年だからそれほど古い話ではない。しかし、いまだ現在、人権を無視した行為が行われ、殺されるか、自殺しか最終手段はないのかと息ぐるしくなる。個人的には基本的人権を無視したDVにはどんな理由であれ、全く寛大さは持ち合わせていない。


この映画の監督の目的はモスリムの社会の女性(人間)の人権向上だが、何作もこの類の映画を見ているし、こういう映画がいろいろな監督によって作られているということはまだまだ、こういう問題が続いているから、我々に意識化させたいのだと思う。でも、これが、米国のサンダンス映画祭やイタリアのベニス映画祭で賞をとっても、果たして、パキスタン、アフガニスタンの国々で起きてる、女性の人権問題が良い方向に変わっていっているのかと不思議に思う。多分、ただ私がしらないだけで変わっていってるのだと思うが。

https://filmarks.com/movies/92520/reviews/96293019 What will People Say という映画も同じ類で、パキスタンからノルウェーのオスロに移民した家族の移民2世の女性に焦点を当てている。一般論かもしれないが、アフガニスタンもパキスタンもこの英題のように、周りの人々の目や親戚の人々の目をいつも気にしている。日本でもよく人の視線を気にするというこういう話を聞く。これは、伝統文化で、なかなか変えることができないし、人の目を気にすることが悪いともいえない。問題点は、人の目を気社会の人々にしないで行動したときや人の目を気にして行動したときの、結果として、それが、社会の慣習や宗教に反すると判断されたとき、例えば、この映画では体罰(DV)に発展することだ。『罪と判断される』とそれに対して私は寛容さは全くない。

この映画には他の問題も指摘できるが、女性の地位の低さが、シャリア法律により社会、家庭、男女の根底にあるから、これから抜け出られる、よっぽど納得できて、感銘できる哲学がないと難しい。

最後に、一言。ワジマが『アメリカに出られてラッキー』というシーンがあるが、どこに移民しようと、根本的に持っている思想の問題だから、人権問題は簡単に解決できるものではない。