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サムジンカンパニー1995のandesのレビュー・感想・評価

サムジンカンパニー1995(2020年製作の映画)
4.0
コメディタッチながら芯のある社会派。しかもホロリとくる場面もある佳作。実話ベースで意外とハードな内容で、しっかりエンタメにしているのさ流石。原題のEnglish Classが要所で機能しており、上手いと感じる。
軽い映像は1990年代の雰囲気をよく出しており、公害の暗さとの対比が良い。基本的にはライトな演出で進むが、韓国映画らしい「重さ」が要所でワサビになっており、決して軽薄ではない。金魚から公害の転換、ジャヨンがリンゴを食べるシーン、検事が告発よりタバコを求める場面など、実はキツイ描写が多いのだ。
所謂「女性」映画でもあるが、それ以前に「人生」の映画でもある。主人公たちは、ポン部長や公害被害者などから明確に「死」を目の当たりする。人生に「意味」があるのか、いや「意味」を持たすのだ。「やる」方に掛けた人間の選択に感動するのである。
さて、話の方は公害から企業買収の陰謀まで発展して痛快。性善説的な団結はなんとなく、フランク・キャプラを思い出す。企業の複雑なパワーバランスをさらりと描いているのも上手い。
コミカル、シリアスパートとも、映像で説明される演出も良い。かなり要素がこんがらがった話のはずなのにシンプルに観られるのは、説明は控えながら映画的なシチュエーションで感覚的に理解できるからだろう。
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