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声もなくのowlマンのネタバレレビュー・内容・結末

声もなく(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

口の聞けない青年・テインと父親代わりに面倒を見ている足が悪い・チャンボクは、犯罪組織の下請けをして生計をたてていた、ある日身代金目的で誘拐された少女・チョヒを預かることになる...

さすがの韓国ノワール映画でした。
誘拐・人身売買といった暗いテーマを含んでいるはずなのに、少女と青年の交流が暖かい色合いに感じてしまいます。クスッとしてしまう場面もあったりします。

あまり直接な暴力や残酷なシーンはないけど、確実に残酷な事が行われている...

表情も声もあまり表に出さず、チャンボクの言うことをきくばかり(反抗期みたいですが...)テインが初めて自分の感情で行動した姿にグッときました。

最後は含みのある終わり方でした...
う~ん...難しい...

テイン役のユ・アインさんの演技も素晴らしかったです。話さない役なのに...気持ちが聞こえてくるようでした。


《私の妄想》

最後は切なかったですね..
テインが人を殺してなかったのは良かったですが...

もしテインが“声”が出ていたら、
毎日テープ(神の教え)を聞いていたら、別の道もあったのかな?と考えてしまいます...

身代金はちゃんと入っていたのかな?
チャンボクの信仰深さと抱え込んでいる“罪”の深さからの、疑心暗鬼からの事故だったんだろうな...ちゃんと“空(天国)”まで行けたのだろうか...


大人に憧れ“スーツ”を着て、強くなったと感じても、中身は変わっておらず...自分の未熟さと弱さにうちひしがれて...スーツを捨てて帰る先には...一体何がまっているのだろう....それを思うと苦しいラストです。

チョヒは最初につけていたマスクの“ウサギ”は声を出さない生き物でしたが、最後に発した“声”によってテインが終われることになっているのは...もう追われる“ウサギ”ではない強さをもったのかと思いました。

誘拐されたチョヒや人身売買の子どもたち、テインや妹さん、チャンボクといった身体が弱い人や生活に活路が見いだせない人たちの“声なき声”、タイトルの『声“も”なく』の“も”が含んでいる言葉の多さに色々と考えてしまう作品でした。
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