なかよし

ドライブ・マイ・カーのなかよしのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

好きな映画か、と言われると即座に首肯出来ない。打ちのめされた。ただ待ち望んでいた濱口竜介監督作品がそこにあった。
脚本の密度が強靭。でもしっかり沈黙と間が惹き込んでいくのは流石。原作からの飛躍と着地もなんとまあ見事なことか。

濱口メゾットの演出方法を実践する家福に、濱口監督を重ねざるを得ない。
原作の短編『ドライブ・マイ・カー』が原案というより短編集『女のいない男たち』からドライブ・マイ・カー含む3編の改編+αである。その+αの巧みさが濱口監督の脚本力に感嘆する要素なのだけど。

感情を排した演技が心揺さぶる不思議。排した、とはいえど、一度感情を排した本読み演出からだからこそのその人らしさが染み付いたような演技で自然そのもの。役が自らに同化していく様を追いかけるに必要尺な179分。
ドラマらしいドラマが起こらない、なんて書いている人がいて驚く。静謐だからそう言っているだけでは?事件は起こり続けている、それはそれは色んな人の人生が狂う程に。

岡田将生の最高演技、あの長回しの語りで言葉通り車に乗っていることを忘れる。

ラスト、家福が手話を発話する側の方向から”見る”という位置で涙すること。

語り尽くせないので一旦この辺りで止めます。

濱口竜介が日本の未来だ、まだまだ邦画は明るい!ってそんな呑気なこと言っていたら普通にすぐ海外で撮ることになるほどの監督だと思います。鑑賞者としてはそれでも一向に構わないですが。。
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