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ドライブ・マイ・カーのmsyのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

自分の心に対峙する
ということであれば
「永い言い訳」が至高で
自分に落とし込んで泣いたのですが、
本作はそこは弱かったような…

それに気付いた者同士の出会い、
共鳴による救いなら感じとりました。

旧車のSAABなんて扱い大変そうだから
それを15年故障させずに維持するほど
家福は手をかけていたわけで、
その運転を任せたみさきとの関係が
深まっていく過程は良かったです。
家福が後部座席から
助手席に移った瞬間、
2人はビジネス以上、親子未満になった。
最後、あの車は
みさきに託されてましたし。

語らずとも読み取れるいい場面は
いくつかありましたが、
クライマックス、
みさきに思いを吐露する家福のセリフが
急‼︎
浮いちゃってて
全部どこかで聞いたことある
再放送じゃなかったですか…

僕は正しく傷付くべきだった
妻を責め立てるべきだった(多分こんなん)

夫婦20年やって
人間も40年以上やってる人の言葉と思えない。
一方通行な訴えかけ。被害者ですか。
出たなファッション苦悩‼︎となりました。
子どもを失ったときに
夫婦でどう支え合ってきたのかも
伝わらんかった。
愛にもいろんな種類がありますよね
恋人の時から、いろんな愛が増えていきますよね、長くいると。
いわゆる情が。
この2人にその蓄積を感じられなかった。
夫婦の歴史が浮き彫りに…全くならなかった。
音が家福に何か訴えたいことが
ある、もしくは努力している姿も
見つけられなかった。お互い様よな?

情の部分描いてないのに
衰えないエロスっていびつすぎん?

タイトルが出るまでの導入部では、
呟き続ける女と
それを受け止める男の画が美しく
エロエロしいレコードのBGMも相まって
心地よく酔わせてもらったのですが
芸術家なら
これは理想的な姿なのかもしれません。
一般人が分かろうとしてはダメなのかも
しれません。

後出しで畳み掛けてくる
みさきの過去は
そやったん?お気の毒やけども
今まで散々尺とってきたのに、
説明セリフとは雑だね
ってなったし
音の話に出てくる女子高生、
ヤマガの家にいたら突然誰か帰ってきて、
誰かと思ったら◯◯でした、しかも
その人を◯◯したのにバレません
って…
問題先送り×2

その先で自分を見つめてなにがあるん?
この脚本なんなの?ドラマ?
面白いの?

最後のダメ押しで
ワーニャ伯父さんの舞台のセリフ、
生きていきましょうね。も、
永い言い訳やったら、セリフなしで
陽一の踊りとか
洗濯物畳む幸夫の姿で
キッチリ締まってたんやけどなー。
劇中劇の効果も薄く感じた。

マンチェスター・バイ・ザ・シーのような
苦しみと一緒に生きていく。といった
弱さと強さを両方持つ人間の真理も
感じなかった。

北海道の雪道で無音になるところは
音が語った「水の中みたいだ」
が体感できたので
映画館で観て良かったかな。
ドヤ感がうるさかったけど。

そんな中岡田将生は
最高のキャラ立ちをみせていた。
あの抑えたお芝居の中に
確かな狂気を感じさせるすご腕だった。
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