このレビューはネタバレを含みます
役者が生き生きとしていて、観ていて幸福感がすごかった。映画表現として素晴らしくて、映画を観る楽しさを再認識した。
濱口監督がどんな演出をするのかを楽しみたくて、原作を読んでから鑑賞。
原作は短編でそれを3時間の映画ってどうなってんだ？と思ったけど、原作は大筋としてはあって、原作を監督が独自に解釈して伝えたい、表現したいことを色々エピソードを加え、かなり肉付けされていた。
岡田将生が出演していると知り、勝手に不安に思っていたけど(ハマり役でない役の時の違和感が結構ある役者さんだと思っていた)、車中の、「～結局は自分と向き合うしかない」というセリフのシーンの彼は凄かった。濱口監督は、役者が脚本を読み、何か感じることで観客も何か感じることができると仰っていて、あのシーンは正に岡田将生が何かを感じていて、何か生まれているシーンで、こちらも何か感じずにはいられない、惹き込まれるシーンだった。
そういうシーンが他にもたくさんあり、(濱口監督作品にはワークショップを行うシーンが出てくることがあるけど、それも役者がワークショップを行うというところに意味があるのか)何度も心打たれた、というか、ずっと静かな感動があった、というか。
演じることや、言語、トラウマ等、多様な題材が盛り沢山で、鑑賞後にいくらでも考えられる作品で未だに思い出して考えてしまう。
