チェーホフのワーニャ叔父さんは読んだことないので、台詞と映画の絡みについては分からないが、多言語芝居の設定は全体を通してこの映画の根幹を表してるのではないかと感じた。
家族も含め他人との分かりあいは言わずもがな、自分自身、さらには自分の心の中の意識的に閉ざしたことを認めたくない思考へのアクセシビリティや対話は、複数字幕のある多言語舞台ようなものなのではないか?
言ったことが、内容は同義でも違う言語で返ってくる、それを通常なら耳で理解するところを、意味認知をなさない音の伴奏と共に文字を追う…
人と人、自分を理解する過程において何百回、何千回やりとりする有声、無声の会話ってこれくらい複雑で、わかっているようでわかっていない、紙一重で誤解してる、そしてその誤解に気づくのにも時間や労力を要したりするってなんだってことの暗喩設定に思えた。
演技としては岡田将生くんの長回しが良かったー。途中までこんなチョイ役で大丈夫?と心配になってたから、見せ場があって納得。いい役者さんだと知りました。幾分歳を重ねて顔のみるさが取れてきたのも良かった。役柄は少し「悪人」でやってたのとオーバーラップする感じだった。
あとは田畑智子似のドライバーさんの子も雰囲気最高だった。サーブなつかしい…