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ドライブ・マイ・カーのやのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
ずっと観たかったけどなかなか行けず今のタイミングになってしまいましたが、映画館で鑑賞。60席くらいのところで観たんですけど、正解だったかも。これは小さめの映画館で見ると、客席感というか車内感が強い感じがあって良いかもです。無責任な主観

人に向き合えるようになるためにはまず自分とちゃんと向き合うこと。
ちゃんと傷つくことも自分としっかり向き合うためには必要なこと。
人の心を理解し切るのは難しいこと。
日常のやりとりと、戯曲の中の台詞が時に重なっていくのがぞっとする良さがありました。

物語の骨のひとつになっている多言語演劇によって、いっそう「言葉」を意識させられるような思いでした。
この映画にはハッとするような無音が随所ありますが、その無音状態を、張り詰めるようでとても豊かな状態を味わうのに、映画館で見られてよかったとしみじみ感じています。無音の種類がいくつかあった気がするけど、ラストの方の、音がないのに雄弁な種類の無音がメチャメチャ好き。性癖。(この人はキャロルの最後の方の展開が全部好きな人です)(わかりやすすぎる)

西島さんの、うまく形容できないけど、弱さを内包した穏やかな大人という感だろうか、良かったなあ。三浦さんの存在感、吹いたら消えるような儚い感じでもナイフのような強い感じでもない、のに感じる危うさと、その運転スキルのようなちょっと哀しさを帯びた優しさが素敵だった。
あとは、演劇祭スタッフ(特に女性)の少々人間離れしたような穏やかさ、岡田さん演じる高槻の持つままならない危うさも好き。
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