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ドライブ・マイ・カーのykのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.5
故郷の広島が舞台と聞いて、映画館に吸い寄せられた。

率直な感想としては、この映画が問いかけてくるものを自分の中に落とし込むには、もう少し時間がかかるかもしれない、ということ。

役者によって使う言語が異なる劇。
夫に愛していると言いながら他の男性とセックスする妻。
相容れないものばかりの中で、「全てがその人だと受け入れることはできないか?」と問われる。

「人を知りたいと思うならば、まず自分を深くまっすぐに掘り下げて向き合わなければならない」と語る高槻に、あの結末を用意したのはどういう意図なんだろう。

悲劇から70年以上経った今も尚、その土地に染み込んだ静かな悲しみを呼吸するように吐き出す広島の平和記念公園で、あの劇が織り成されることにも、意味があるように思えてならない。



この映画を観て、芦田愛菜ちゃんがとある映画のイベントで語っていた言葉を思い出した。
改めて検索してみたけど、やっぱり彼女、只者じゃない。

「『その人のことを信じようと思います』っていう言葉ってけっこう使うと思うんですけど、『それがどういう意味なんだろう』って考えたときに、その人自身を信じているのではなくて、『自分が理想とする、その人の人物像みたいなものに期待してしまっていることなのかな』と感じて」
「だからこそ人は『裏切られた』とか、『期待していたのに』とか言うけれど、別にそれは、『その人が裏切った』とかいうわけではなくて、『その人の見えなかった部分が見えただけ』であって、その見えなかった部分が見えたときに『それもその人なんだ』と受け止められる、『揺るがない自分がいる』というのが『信じられることなのかな』って思ったんですけど」
「でも、その揺るがない自分の軸を持つのは凄く難しいじゃないですか。だからこそ人は『信じる』って口に出して、不安な自分がいるからこそ、成功した自分だったりとか、理想の人物像だったりにすがりたいんじゃないかと思いました」
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