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ドライブ・マイ・カーのskmoviesのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.9
近年のアカデミー賞ノミネート作品って
さくっと一言感想で終われない作品が
多い気がする。

家福、音、高槻、みさき
それぞれに思うことがあって
しばらく余韻に浸ってしまいそう…。

"僕は、正しく傷つくべきだった。"
自分への期待や自己防衛がある限り
向き合うことはできない。
向き合うことはある意味自傷行為だから。
それなら逃げた方が、
気付かないふりをしていた方が、
幾分楽なのかもしれない。
ただいつかは向き合わないと
自分を苦しめ続けるまま。

自分と向き合えない人たちだけど、
家福とみさきは内に秘められる
(感情をコントロールできる)のに対し、
音と高槻は外に放たないと生きられない
(感情をコントロールできない)のが
対比になっている気がした。
同じ生き方同士で共感できたり、
支え合えたりする部分もあったのだと思う。

音は妖艶で美しくて
深入りしたら危なそうな雰囲気すごかった!
いつかの情事の時に音の物語を聞く
家福の表情が強張っていた。
音は愛する人だけど、
踏み込んだら飲み込まれそうで
怖かったんじゃないかな。
だから"妻をただ愛する優しい夫"として
適度な距離を保っていた。

2人の関係がなんとなく表面的だったのは
家福の怖れを音も察知していて、
愛する夫に踏み込まれない寂しさを
他の男で癒してたのかな。
ずっと穏やかなのにどこか歪だった2人。

音の物語を紡ぐ癖は家福にだけかと
思っていたけど、そうじゃなかったんだな。
もしかしたら書き上げた脚本を
高槻は読ませてもらっただけかも?
この話に限らず、
細かく描写されてない部分が多いと
いろんな解釈ができるから面白い。

基本的に暗くざわざわする展開の中で
ユンスさんの優しさが救いだった🥔笑
最後のみさきの表情が晴れやかでよかった。

今回一番印象に残ったのが岡田くん。
何を考えているかわからない、
いや何も考えてない?高槻に
終始心をざわつかせられた。

車での長台詞の告白のシーンは
何を言い出すかわからなかったので
とにかく怖かった…!
音を殺した、とでも言うんじゃないかと。
「不倫相手のくせに何様!?」な発言も
めちゃくちゃ多かったのに←
なんかずっと聞き込んじゃったなあ。
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