ゼロ

ドライブ・マイ・カーのゼロのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.3
その先にあるものを、僕はまだ知らない。

本作は、第94回アカデミー賞で、邦画初となる作品賞を含む4部門にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞している。原作は村上春樹さんの同名小説。村上春樹さんらしいセックスと喪失と詩的な物語でした。

アカデミー賞で選ばれたのは、手話であったり、日本語以外の多言語で戯曲『ワーニャ伯父さん』を演じていたからかなと思いました。ドキュメンタリーのような撮影方法もあり、より出演者を現実のものとして受け取ることができました。

上映時間が179分と長尺であり、正直に長いな…と感じました。反面、長く時間を使えるからこそ、家福悠介と音のセックス時の儀式や家福と高槻のドライブ時に語る岡田将生さんの迫真の演技を観ることができたのかと思います。

また大半がドライブをしながら、仕事であったり、家族であったり、喪失であったり、人生の全てを考えていた家福を観ていたら、ドライブへと行きたくなりました(笑)なんか、あの空間って特殊ですよね。

そして、主役である西島秀俊さんの淡々とした演技も良かったです。演技の指導をするにも、淡々としていて、演者が何を要求されているのか戸惑っている感じもありましたが、不器用ながら実直に物語と向き合っている。その姿を妻の音にもぶつければ良かったのですが、それができない弱さも伝わってきて人間味がありました。

総括としては、あるい程度の年齢を重ねた大人に響くドラマな作品でした。
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