Kin

ドライブ・マイ・カーのKinのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

はじめの数十分で鑑賞を後悔し始めたけど、タイトルが出たところくらいから作法に慣れて引き込まれた。そして鑑賞後はずっとずっとこの映画について色々と考えてしまう。そして翌日にまた観てしまった。3時間もあるのに…作り手の思う壷な私です。

俳優さん達もとっても良い仕事してます。西島秀俊さんは今まで大根な印象だったけど北海道での独白が駄々っ子の様な男性性がよく現れてて素晴らしい。岡田将生さんはなんともどうしようもない内面を抱えた人物を好演。影を持つ三浦透子さんのドライバーも文句なし。その他韓国人ご夫婦のバランスもすばらい。

なんと言っても心に傷持つ2人が車の中でサンルーフから手出しながらの喫煙ポーズが最高。私も心に傷持ってるから混ぜてほしい。一緒にやりたい‼︎ 。北海道への道中の車からの去りゆく後から見た風景や道が戻れない過去を表しているんだろうな。そしてその後の雪の景色の無音が凄い。ずっとそのままで良いと思われる心地の良い時間だった。

2回目の鑑賞でゆっくり物語を追って観ると、村上春樹の原作とチェーホフの戯曲ワーニヤ伯父さんを取り込んで巧妙に作り込まれた脚本に感心感動し、ラストの舞台のシーンはより号泣だった。

チェーホフのワーニャ伯父さんの簡単な荒筋と成り立ちを頭に入れて、本筋・ワーニャ伯父さん稽古・音の語る物語を整理して観て下さい。平板な語り口のセリフを追いすぎず頭整理ながら長い時間を耐えていくと最後には未だに体験したことのない人生の赦しを受けることができます。

とっても素晴らしい映画でした、
また観るんだろな…。
Kin

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