メッチ

ドライブ・マイ・カーのメッチのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
5.0
突然身近な人が亡くなったときに悲しめないのは、現実を受け止めたくないあまり涙が出てこないから。

本作は、冒頭40分でこの物語はどういうものかを説明してくれる感じがありました。主人公家福が広島の公演へ行くところからが本編なのですが、冒頭40分に説明がされていたことによって理解しやすかったと思います。
例えば、家福とドライバーの三浦が車の座席の位置によって心が開いていく描写でしょうか。奥さんが運転していた時は助手席に座っていましたが、初めて三浦さんが運転するときは後ろの座席に座っている。でも、物語が進むに連れて座席の位置が変わっていく。冒頭40分の説明があるからこそ理解がしやすかったポイント。
その他にも妻に先立たれて泣きたくても何故か泣けず、緑内障の進行を抑えるための目薬が目から流れる描写も。

つい去年までの世間では、コロナ禍というのもあり人と会わなかったり話す機会がなくなり、突然亡くなることでの別れというのが多かったからでしょうか?
そんな時代に合わせたような悲しむべきときに悲しむことを教えてくれる作品だと思います。
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