ナツミオ

ドライブ・マイ・カーのナツミオのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.5
WOWOW録画鑑賞
【祝 アカデミー賞受賞!濱口竜介監督特集】
“過去を受け入れること"

"真実はそれがどんなものでもそれほど恐ろしくない。いちばん恐ろしいのは、それを知らないでいること…"
〜チェーホフの台詞

心に傷を負った主人公とヒロインの心の再生を描くロードムービー。
観終わってからも、余韻を引きずる、不思議な感動に包まれる良作‼️

普通は観た日にレビューを上げるが、
色々な感情が渦巻きレビューがまとまらない…

村上春樹の同名短編小説を濱口竜介監督が鮮やかに映画化。
妻を若くして亡くした舞台演出家を主人公に、彼が演出する多言語演劇の様子やそこに出演する俳優たち、彼の車を運転するドライバーの女との関わりを描く愛と喪失、希望の物語。

国内外で数々の賞に輝き、映画界の話題をさらった必見の注目作。
・第94回アカデミー賞4部門ノミネート
(作品・脚色・監督・国際長編映画賞)

・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞を受賞。

・第87回ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞受賞。

・ロサンゼルス映画批評家協会賞
作品賞受賞

・全米映画批評家協会賞 作品賞受賞

・第79回ゴールデングローブ賞
非英語映画賞(旧外国語映画賞)受賞

・2021年第95回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、日本映画監督賞、日本映画脚本賞、助演女優賞(三浦透子)、読者選出日本映画監督賞受賞。

英題 『Drive My Car』

2021年日本作品
監督・脚本 濱口竜介
脚本 大江崇允
原作 村上春樹
(「ドライブ・マイ・カー」(短編小説集「女のいない男たち」所収 文春文庫刊))
音楽 石橋英子
撮影 四宮秀俊
出演 西島秀俊 三浦透子 霧島れいか 岡田将生 パク・ユリム ジン・デヨン 

(WOWOW番組内容より)
舞台俳優・演出家として成功し、充実した毎日を送っていた家福悠介(西島)。
しかし、脚本家として彼を支えていた妻の音(霧島)が、今夜話したいことがある、と言った矢先に急死。
悠介は心に大きな喪失感を抱えたまま、孤独な日々を送るはめに。
2年後、彼は広島で開催される国際演劇祭でチェーホフの名作舞台劇「ワーニャ伯父さん」の演出を手掛けることになり、寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦)と行動をともにするうち、心境に次第に変化が生じる……。

村上春樹が2013年に発表した短篇小説に、カンヌ・ヴェネチア・ベルリンをはじめ国際映画祭で高い評価を得た濱口竜介が挑む意欲作。

短い会話、車、劇中劇、ロードムービー。

邦画であるが、登場人物は主演以外は、国際色豊か。
広島国際演劇祭事務局のスタッフも、海外の俳優さん、多言語演劇の俳優も国際色豊かで、邦画の色合いが薄く感じるのも個人的には高評価‼️

・短い会話を重ねることで、後半へ繋がっていく脚本が良く出来ている。


以下、ネタバレあり




・赤いサーブ900ターボ
 少しレトロな車、カセットテープ、サンルーフを開けて2人でタバコの灰を上に向けるシーン、みさきの熟練運転テク。
など結構、ツボの要素が多い。

・家福と音
妻の不倫現場、恍惚とした音の表情
  気づかれずに自宅を出る⁇

  “今日帰ったら話せる⁈"

・広島国際演劇祭
  『ワーニャ伯父さん』
  多言語演劇
  ”ソーニャ"役
  イ・ユナ(パク・ユリム)の手話演技
・音のテープ
  吹き込んだチェーホフの台詞(冒頭)

・三人の物語
  みさきの物語
  家福の物語
  高槻が音から聞いた物語
“恐ろしいことが起きたのに、しかもそれは自分の罪であるのに、世界は穏やかで何も変わっていないように見える。でもこの世界は禍々しい何かへと、確実に変わってしまった。"

家福が覗き込むことの出来なかった妻の中の黒い渦、闇。

・北海道へ
 サーブで向かうロードムービー

 みさきの生家跡地

 妻から受けた心の大きな傷
 
 自分が妻に対して抱いていた
“抑えていた感情"
  “目をそむけてきた事実"
  “本当の感情"

家福とみさき、互いに大事な人を助けられなかった想い、後悔、傷ついた互いの心をさらけ出すシーンに、ジンワリと胸熱。

そして最後の劇中劇”ワーニャ伯父さん"
ワーニャとソーニャの手話劇は、
伯父と姪の関係だが、

 家福とみさきの関係のよう
 それぞれに語りかける
 そして観る我々へも

ラストの韓国でみさきが買い物するシーン
とって付けたよう⁈なシーン。
賛否両論のようだが…

監督は、突っ込まれることをわかって入れ込んだシーンらしいが、個人的には2人が未来に向けて一歩踏み出したと思えるイイシーンと思う。

みさきは、髪も伸び、幸せそうな笑顔
みさきが乗る車は、赤いサーブ
ワンちゃんも一緒。

家福とみさきが韓国で生活している暗示に、劇中劇のエンディングが被る。

これは、またじっくりと再鑑賞したい良作‼️
また近いうちに観てしまいそう⁈

2022/7/30
2回目の鑑賞
セリフ一つ一つが改めて沁みてくる…
岡田将生との車内での会話が、改めて岡田将生という俳優の素晴らしい演技に見惚れる‼️

チェーホフの舞台劇のセリフ、音のテープ、そして家福とみさきの心の移り変わりがこれらが一つにまとまる、腑に落ちてくる。
スコア0.1アップ
4.4→4.5へ

やはり素晴らしい作品だ‼️



【忘備録】
(キャスト)
・家福悠介:
西島秀俊

・渡利みさき:
三浦透子

・家福音:
霧島れいか

・イ・ユナ:
パク・ユリム

・コン・ユンス:
ジン・デヨン

・ジャニス・チャン:
ソニア・ユアン(zh:袁子芸)

・ペリー・ディゾン

・アン・フィテ

・柚原:
安部聡子

・高槻耕史:
岡田将生



(撮影場所)
・広島県

広島市
広島高速2号線
広島高速3号線
広島高速4号線
広島平和記念公園、広島国際会議場
アステールプラザ
吉島(広島市環境局中工場、吉島釣り公園
新天地公園(広島市東新天地公共広場)
袋町(BAR CEDAR)
翠2丁目7付近の道路
海田大橋
宇品橋
広島みなと公園
グランドプリンスホテル広島
広島市安公民館
クアハウス湯の山

・呉市
安芸灘とびしま海道
御手洗(閑月庵新豊等

・東広島市
東広島芸術文化ホールくらら
山陽自動車道小谷SA

・東京都首都高速道路

・千葉県
成田市成田国際空港
流山市スターツおおたかの森ホール
北海道赤平市

・大韓民国
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