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ドライブ・マイ・カーのABBAッキオのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.7
 2022年濱口竜介監督。村上春樹の短編原作を脚色して3時間の長時間映画とした。なかなか見ることができなかったが航空機内で鑑賞。長すぎるとの批判も聞いていたが、この映画の描き方からすれば長いとは感じなかった。前半2時間で、家福、妻の音、若い俳優で音に憧れる高槻、家福のドライバーになる渡利みさきを軸とする人間関係が徐々に積み重なる。その中心にあるのはチェーホフの演劇であり、その脚本と劇内劇が、言葉と演技をめぐって重層的な関係を織りなしている。
 最後の1時間に一挙に展開が動き出し、高槻の命運、家福と渡利の長距離ドライブで新たな関係が生まれる。結末は家福と渡利にとって自分と向き合うことで次に進むことができる希望をもって終わる。
 日本映画らしい、静かで象徴的ではあるが構成は工夫されており面白い。チェーホフの基礎知識があった方がよいだろうが、考えさせる映画としてよくできていると思う。
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