ゆず塩

ドライブ・マイ・カーのゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ:愛妻家の男が妻の浮気現場を目撃するが、見なかったことにして立ち去る。後日、妻から「帰宅後話がある」と言われ、帰宅すると妻はくも膜下出血で死んでいた。2年後、男は次の仕事をしに広島へ行く。】

広島での舞台監督の仕事がメインストーリーなんだけど、妻の謎が強くて。
あと、『ワーニャおじさん』の要素が強い。

【テーマ:罪悪感を抱いたまま生き続けること】

罪悪感とか、生きることとか、残されたものが生きるということ、とか。そこら辺がテーマなのかと。
普遍的で良かった。

【その他】
テクニカルな部分ですごく面白かった。

『ワーニャおじさん』を読んでから見たから、『ワーニャおじさん』要素が強いのがよく伝わってきて。
「一番恐ろしいのは、それを知らないでいる事よ」ってセリフ、『ワーニャおじさん』だと結構いいセリフに感じてたのに!こんな怖いセリフに変わるとは思ってなかったよ!
あと、朗読する奥さんの声に対して、西島秀俊がワーニャのセリフを言うのはずるいよ!
その時、奥さんに対して言いたい事を言ってるみたいになるわけで。しかも、良い感じのセリフで!
誰かにシナリオを丸々朗読させて、一つだけ誰かがセリフを埋めていくのは……。演出のアイディアとして秀逸なのでは?
(よくある手法なのかもしれないが)
『ワーニャおじさん』読んだ後だからこそ、面白かった。

ラストのソーニャの「仕方ないわ、生きていかなくちゃならないんだもの!」から始まるセリフを手話に変えたのは秀逸ですよね……。
結果的に活字になってて。
見てる人にとって一番最適な言葉として目から耳に入ったんではないでしょうか?
いいセリフだからこそ、下手したら陳腐になりかねない台詞で。

広島北警察署の役者さんが吉田大八監督だなんて思わなかった。
似てるとは思ったけど、ご本人だなんて!

岡田将生を、「お前いつかやらかすんじゃないか?」って思ってたら、凄いやらかしを犯してて引いた。
でも、舞台に与える被害を最小限にしている感じもして。単純な悪者にならないようにしてるのが良くも悪くも監督の愛なのか。

本編全てを通して、セリフにリアリティが無いのは良いのか悪いのか。長台詞で舞台っぽいセリフというか。普通に聞いていられたけども。難しい。

メインの登場人物が誰も彼も個性が強くて良い。
タバコをすぐ吸うが礼儀正しく、無表情なドライバー。
温和そうで、キレやすかったり、軟派な俳優。
ルーティンが特殊な舞台監督。
温和そうな手話者(ちょっとありがちなキャラだが、ホッとするキャラだったから良し!)。

全体的に満足でした。
ゆず塩

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