自分史上、最高の邦画。
本当に他人を見たいなら、自分自身を深くまっすぐに見つめるしかない。
どんなに愛していて、心の奥深くで繋がっていて、大切な人でも、その人のすべてを覗き知ることはできない。覗き知ったことを知られてしまうと、離れていってしまうかもしれない。そんな思いを胸に自分に正直になれなかった家福。
寡黙な中に壮絶な過去を内に秘めながら、その過去を冷静に見つめて、言の葉にして紡ぎ、家福の過去と繋がりを持つみさき。
悲しい現在や過去を持つ人々の中で、淡々と、そしてしっかりと自分をガイドし、人々もガイドする灯台のような存在のユンスさん。
映画の主軸であり、メタファーのような「ワーニャ伯父さん」。
キャラクターと同様に複層的でありながら、どんな過去でも受け入れて自分自身を正直に真っすぐ見つめることを一本のテーマとして描き切った映画。
過度な演出がなく、淡々としながら、まったく3時間という時間を感じさせない丁寧なストーリー作り、どこかノスタルジックで、自身が移入してしまうフィルムワーク。
間違いなく、私が見た邦画の中でベストと言える映画だと思います。
西島さんの発する「あぁ」が、とてもつもなくカッコいいです。西島さんと春樹の描く少し陰のあるけど、ついつい気になってしまう、放っておけない男性像の相性もぴったりでした。
2022年の年末に、Amazon Primeで良い映画を鑑賞できました。