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ドライブ・マイ・カーのcamusonのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.7
村上春樹の原作小説は未読。

主人公の西島秀俊は舞台役者兼舞台演出家。
その妻の霧島れいかは人気脚本家。
主人公が主に仕事の移動で使う自動車にフォーカスし、
その中や周辺で起こる
クリエーター夫婦の少し風変わりな日常や、
思いがけない出来事など、
エンターテインメントの題材にはあまりならないような事柄を、
ごく自然に、あまり狙った感を出さずに、
細かいところまで繊細に描いていくというような作品。

映像も特別美しい風景があるわけではないのですが、
現代日本の変哲のない風景が、しっとりと落とし込まれていて、
心が落ち着く感じがします。
文学的な雰囲気が醸し出されていて嫌いじゃないです。

ただ、雰囲気は嫌いじゃないだけに、作品の着地点が今一つというか、
主人公の感情に深いところで共感することはなく、
大きく心動かされるものがないまま、終わってしまったなという感想です。
原作があることをほとんど意識しないで見ていましたが、
村上春樹原作と言われると、まあ、わからないでもない気もします。

後半、三浦透子が主人公のマイ・カーのドライバーとなり、
主人公との交流が描かれていくのですが、
「三浦透子が運転がとても巧い」という設定があってもいいとは思いますが、
それが強調され過ぎていて、
そこだけは、少し不自然さを感じてしまいましたかね。
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