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ドライブ・マイ・カーのTSのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.6
【とある舞台俳優の失意と希望】77点
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監督:濱口竜介
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:179分
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 ㊗️3000本!ついにきました!ギリギリでしたが今年中には到達したいと思っていました。うーん、それにしても当初の予定よりかなり遅れまして、全盛期のペースなら少なくとも二年前くらいに到達していた予定だったのですが笑 なんにせよ、一つの区切りで達成感があります。まだまだ観ていない名作が山のようにあるのでこれからも観ていきたいと思います。フィルマークスもやり始めてもう8年くらい経ちますが、これからも活用していきたいと思います。で、キリが良いので今作で今年の更新は最後にします。私情ですが本日の夜から海外に行くので1月4日まで更新は止めます。

 さて、記念すべき3000本目には今作を選びました。『おくりびと』以来13年ぶりに、アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞した作品です。3時間近くあるので敬遠していましたが、ここで観ようと思いました。ところで、僕の今作のイメージは、『ナイトオンザプラネット』みたいに終始車の中で会話をしているだけのものと思っていましたが、全くそんなことはなく、確かに車内の描写は多くとも普通の映画として成り立っていました。ここでいう普通の映画というのは、舞台がところどころ変わる、という意味での普通です。

 舞台俳優の家福は、幼い娘を亡くして妻と二人暮らしをしていた。家福は仕事場に行くまで、車を運転しながら戯曲のセリフを練習するというルーティンを備えていた。ある日、成田空港に向かうが飛行機が延期となり家に戻ったのだが。。

 割と生々しい浮気描写。普通の人間ならば、その場にいって激怒するでしょうが、家福は敢えて見て見ぬふりをするという聖人ぶりを発揮します。その理由は後半でわかるのですが、それでもとてもじゃないですが真似できない姿勢でしょう。それから二年後、家福は広島で開催される国際演劇祭に招待され、そこでひょんなことから彼の車を運転するみさきという女性ドライバーが現れます。彼女が運転する理由はすぐわかりますが、国際演劇祭のオーディションなどの仕事をする中で、ドライバーのみさきは家福にとって不可欠な存在となっていきます。

 面白いのが、徐々にみさきが自分の出自を家福に話していくところでしょう。最初は機械的にドライバーをしていくのですが、家福の人柄に心を許すのか、彼女の暗い過去を話していくことになります。結局、鑑賞者に含みを持たせている部分が多いため、浮気相手やラストのシーンなどは推測するしかないのですが、あまり3時間の尺を感じない作品でありました。が、傑作かと言われると少し物足りないところがあり、特筆すべき点はあまりないかなと感じました。

 国際的に評価されたと思われる点は、演劇の配役ではないでしょうか?男女はもちろん、韓国の人や話ができない者も配役に抜擢するのでその多様性がまた素晴らしい方向性と評価されたのでしょうか。山のように評論文が出ていると思うので、またどこかで参考にしてみたいと思います。

 ということで、今年の更新はこれで全て終わりとします。飛行機内でダウンロードしたドラマ「VIVANT」を観ますので、年明け一発目の更新はドラマとなるかもしれません。

 今年もお世話になりました。みなさん、来年もよろしくお願いします。良いお年を!
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