課長とヒロシ

ドライブ・マイ・カーの課長とヒロシのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.2
ヒロシ(以下ヒ):村上春樹さんの同名小説を原作に、独特な演出手法が世界的に注目されている濱口竜介監督が映画化ということで話題になりましたが、作品自体もアカデミー国際長編映画賞受賞と大成功を収めました。

課長(以下課):原作が収められている短編集『女のいない男たち』の中の他の2作品『シェエラザード』、『木野』もストーリーに加えていて、うまく原作で語られなかった所を補完している感じだな。あとは主人公の俳優であり舞台演出家である家福が依頼されてチェーホフの戯曲を舞台劇化していくんだが、その演出方法がまんま本作自体の演出につながるという、「劇中劇」的な要素も含んでいるぞ。

ヒ:海外の反応が良いのがこのあたりですよねー、特に感情を一切なくして演者が台本を読み上げる「イタリア式本読み」というフランスのジャン・ルノワール監督が実践した手法は濱口監督の十八番ですが、その演出が効いてる感じです。

課:村上春樹の小説も日常を淡々と主人公の抑制した感情で語りながら、そこから抑えきれず溢れ出てくる喜怒哀楽を汲み取るみたいな構成がよくあるが、そのあたりが原作と演出がうまくハマっている印象だな。まぁこういうのは演者を選ぶ気がするが。

ヒ:主役は西島秀俊さんですが、岡田将生さんや三浦透子さん、ソーニャ役のパク・ユリムさんが目立つ感じですよね。

課:皆素晴らしい演技だが、特にその3人は半端ないよな!まぁそんな格差をつけるのも濱口監督の「演出」かもしれないが、、。

ヒ:笑笑 賛否両論あったエンディングですが、あそこも「映画を完璧じゃなくするために」あえて加えたと仰ってますからねー!なかなか一筋縄ではいかない監督さんです!

課:ハラハラドキドキはしないが、一杯やりながら淡々とした物語を追いつつ、演者からふとした弾みに溢れ出てくる感情を楽しむのが正しい観方かな。まぁ、時間のある時にゆっくり観てくれ!

ストーリー 3
キャラクター4
世界観   5
演出・演技 5
音楽    4
あの車ほしい!度99
課長とヒロシ

課長とヒロシ