確かに好みは分かれる映画だろうと思う。
村上春樹は数冊読んで、得意が苦手かと言ったら苦手な作家。
なので、こちらもどうかなぁ…と半信半疑で観てみた。
何しろほぼ3時間の長丁場だし。
結果、観てよかった。
ラストは村上春樹お得意の、各々の解釈に任せます系だったが、
それよりも途中の様々な人間模様が良かったので、あのラストは私は幸福に思えたし、好きだった。
ノルウェイの森なんかよりよほど。
退屈しそうなのにしないこの感じは流石だし、
間がね。すごい。
多分私自身が歳を重ねて、人の機微に重きを見出してきたからなんだろう。
わたしが子供だっただけで、やっと、村上春樹の作品を読める年齢になったのかもしれない。
韓国人女性の手話の演技場面で涙が出た。
ゆるりと美しい手の言葉で、あんな風に説かれたら、
自分の生死感とは違っても、「うん、そうだね」と、頷きたくなるよ。