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眠狂四郎 魔性剣のkojikojiのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 魔性剣(1965年製作の映画)
3.5
佐絵「私をお抱き下さいませ!」
狂四郎「私が一両で買ったのは、そなたの身の上話だ。その身体に一両の値打ちはない。誇りを捨てた武家育ちの女の末路、抱いて寝ればうらぶれるばかりだ。むしろ惨めになる。」
 雨の夜。居酒屋から出た狂四郎に武家の娘が身体を買って欲しいと言ってくる。
 狂四郎は誘いに乗って女の家に行く。
 女は身の上話をする。狂四郎は一両の小判を投げて女を、抱こうとはしない。
その後の二人の会話だ。
女はその翌朝自害した。

#1296
1965年 大映 狂四郎第6作
監督は安田公義
狂四郎を3本。第3作「円月斬り」以来
脚本は星川清司第1作~第7作

 初っ端から狂四郎の言葉が冴えてる、とワクワクして観始めたら、この映画は最初のこの言葉にずっと振り回される。
 狂四郎には珍しく、女は自分の業の深い言葉のせいで死んでしまった、もう少し優しい言葉をかければ良かったと、狂四郎が後悔するのだ。
「はーっ」という感じ。今更狂四郎!
 狂四郎の下に佐絵の遺書を待ったその子鶴松が現れる。鶴松は、岩代藩の城主と、そのころ御殿女中であった佐絵との間にできた隠し子だった。
 このことが原因で狂四郎は岩代藩のお家騒動に巻き込まれることになる。

 この鶴松に、以前狂四郎が斬りすてた伴蔵の妹おりん(嵯峨美智子)が最初から最後まで絡んで、狂四郎らしさがボケてしまっている。
脚本は星川清司なのに、どうしてこんなことになるのか、脚本が悪いのか、監督が悪いのか、この作品の狂四郎はダメだった。

 この頃の子役の台詞の「なんとかだーい」が私は嫌いだ。日活映画にもよくこの台詞を耳にするが、子供は「なんとかだーい」と言うのだろうか?何故か耳に残って嫌だ。
この映画、最初から最後までこれを聞かされる。

 もう一人の女おりんを演じる嵯峨美智子。当時から変な顔だと思っていたが、すでにこの時代に整形してるんだろうか。異色の女優のイメージで、当時からあまり好きなおばさんではなかった。
今見ると演技もあまり上手くない。

 円月殺法をこの世の土産に見せられるのは
  ・岩代藩主紋部三郎太
・岩代藩随一の使い手・赤石群兵衛

円月殺法は今回ストロボが復活するが、どちらのシーンも映像に冴えがない。美しくない。
 紋部三郎太との闘いでは、一旦回った剣がもう一度額のところに戻るところが見どころ。そう言う意味でレア回だ。

2023.07.14視聴329
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