けーはち

眠狂四郎 魔性剣のけーはちのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 魔性剣(1965年製作の映画)
3.3
春を売る没落武家の女の話を聴き、彼女を抱かず一両を渡す狂四郎。翌日、女は自害して果てる。女を死なせた自責の念にて、某藩主の落胤である彼女の息子を陰謀から守り通す。市川雷蔵=眠狂四郎シリーズ第6弾。過去作の刺客の妹と某藩の跡目を巡る陰謀が絡み、そうかと思えば不貞の妊婦を怪し気な秘薬で堕胎させる転びバテレンの黒ミサやら、強い男の種を孕むため貞操を守ってきた風魔一族の尼僧が現れたりと、思いつきのネタを矢継ぎ早にぶっ込むような娯楽の闇鍋状態で話に纏まりはないな。今作狂四郎、女子供を庇ってあえなくお縄に掛けられるくだりもあれど、藩主になんて成りたくない無垢な少年を守りながら、武士の世界は殺し合い、と時に冷ややか、時に激しく魅せる殺陣。ストロボ撮影の円月殺法が珍しく回り切る前に戻るフェイントをかけたりなど要所で新しい試みを加えつつ、やはり妖しげなカッコ良さを見せつける剣鬼の魅力が安定。