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ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期のIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

4.3
ファミリーへの愛ゆえに目指した栄光の頂き。
眩いあの光に向かって這い上がったはずだった。
いや違う、大切なものを失ってようやくわかった。
あの光は天上の恵みではなく地獄の業火だったのだ。
私は登っていたのではなく、堕ちていた。

陽の当たる表舞台に躍り出ても賞賛と栄誉を得ても、拭えぬ血と硝煙の香り。数多の人間を操り莫大な金を動かせども、満たされぬこの心。
私を最期に満たすものは一体何だというのだろうか。


かつて絶大な権力を誇ったマイケル・コルレオーネ。
未だ満たされぬ愛への渇望、そして振り払えぬ闇の顔。
映画史に燦然と輝く愛の物語、終幕の時。

PartⅡでは苦難に直面するマイケルと黄金時代へと歩む若きヴィトーの対比が描かれたが、今作では自分の人生への懺悔に揺らぐマイケルとかつての自分のように野心と自信に満ち溢れたヴィンセントが対比的に描かれる。
ソニーの息子で血気盛んなヴィンセント(アンディ・ガルシア)の登場で次世代の台頭を肌で感じられ、かつ時代の変化を実感できる。これにより年を重ねたからこそ表面に現れてきたマイケルの脆さを印象付けられる。


みなぎる自信が瞳に宿った『ゴッドファーザー』、愛ゆえの苦悩に直面した『ゴッドファーザーPartⅡ』、そして膨らみすぎた血の代償を遂に払う時が来た『ゴッドファーザー〈最終章〉』。
時代が移り変わっても変わらないものがある。愛。それは強さであり弱さであり、人間に流れる血の如き代物。それ無しには生きられないのである。愛のために流した血は、愛の喪失によって贖われる。

そうして、『愛』に人生を捧げた男の最期は『哀』に終わるのであった。