さすらいのエマノン

ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期のさすらいのエマノンのレビュー・感想・評価

2.0
なんぞこれ?

ゴッドファーザーpartⅢならば学生時代に映画館で観た記憶があるが、此の作品は『ゴッドファーザー最終章:マイケル・コルレオーネの最後』と云うタイトルで2020年の作品になっている。『…partⅢ』を再編集したもので大筋は同じだが、細部が随分と違う。とは云え、『…partⅢ』は一度しか観ていないので記憶は朧げなのであるが。
何故、一度しか観ていないのか? 理由は明白で、凡庸な出来上がりだったから。

此度の再編集版も感想は同じ。
凡作。何故、凡作に手を加え、更に凡作を生み出したのかは不明であるが、色々と大人の事情があったのであろう。

闇の世界からすっかりとカタギの世界に転身したマイケルを映し出すライティングは最早、のっぺりとした普通光の絵面。4Kリマスタァの効果も相まって、安物のテレビドラマみたい。
マイケルを演じるアル・パチーノも演技メソッドを完全に確立しており、他作品の彼と同じ風格になっている。

歳を取ったマイケルは、すっかりと丸くなり、『…partⅡ』で自分の子供を墮胎され、決別した元妻のケイといい元夫婦の日々を送っている。おいおい、其れって在りかなー? 幾ら「子はかすがい」とは云え、一度、壊れた男女の関係は修復することは困難でしょうに。特に苛烈な性格のマフィアのボスが……。

まぁ、その点は目をつぶり、鑑賞を勧めていくと、本当に和やかな良い夫婦っぷりを見せられて和むことは和む。

が然し、長兄アンソニーの妾腹の息子、ヴィンセント(アンディ・ガルシア)の登場により、不穏な空気が流れ始める。振り返ってみれば、アンソニーの愛人ってあんまり綺麗じゃなかったあの人なのかなー? 初代 アンソニー……、何ゆえにだ?

マイケルとケイの最愛の娘、メアリーを演じるのが本作で俳優デビューした、コッポラ監督の娘、ソフィア。この人は3部作の総てに出演している。有名なトリビアなので割愛。

このヴィンセントとメアリーのラブストーリーが今作では、結構、ハショラれてる感じがした。でもヴィンセントも流石、アンソニーの息子なだけある。女好き。初っ端、連れ込んだ女の人がブリジット・フォンダ。ピーター・フォンダの娘さん。懐かしい。今は何をしているのだろうか? 

あと、コンシリアリ役のトム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)は亡くなっちゃったことになっていて、代わりに色男のジョージ・ハミルトンが登場。当時、52歳。若っ!! 此処がちょっと気になる点なのであるが、『…partⅢ』にロバート・デュヴァルが出演しなかったのはギャラの関係で揉めたからで、何処かに行っている設定で、亡くなったと云うことでは無かったように思うのだが。そして、ジョージ・ハミルトンは今作ではペラペラ喋っているが、『Ⅲ』では終始、無言だった記憶があるのだが……。確認の為、『Ⅲ』を観直すモチュベは御座いません。 

ラストシーンは人の親となって見返すとやはり号泣。でも、最後にポエムみたいなクレジットが入って締めくくる。キム・ギドクかよwと思った。

つらつらと書いた。兎に角、へんてこな作品。蛇足とはこのことを云うのだと感じた。

蛇作。 

(追記)アンディ・ガルシアが始終着ている黒皮のジャケット。アレは流石に無いでしょう。無さすぎて無いw  

ヘルムート・バーガーが出演していたことを初めて知った。当時、パンフレットも買ったのに。びっくり。