TAK44マグナム

誰も眠らない森のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

誰も眠らない森(2020年製作の映画)
3.5
既視感、それもまた武器。


NETFLIXオリジナルの田舎スラッシャーホラー。
なんとポーランド産です。
本国では13日の金曜日にかこつけて劇場公開予定だったのがコロナの影響をうけて断念、ネトフリでの世界公開になったみたいですね。
世界配給権をネトフリが買ったのか、それとも製作段階から製作費を出しているのか、どちらなんでしょうね?
いずれにしても、こういったクラシカルスタイルのホラー映画がポーランドでも作られているというのがホラー映画、とりわけスラッシャー好きとしては嬉しいです。


ストーリーは単純。
ネット依存のテクノロジー中毒者を矯正するためのキャンプ「アドレナリン」に参加した若者たちが、森に潜む謎のイボイボ怪人に惨殺されてゆく・・・
ただそれだけ!
そう、スラッシャーなのだから余計な枝葉は必要ないのです。
一応、ヒロインに暗い過去があったり(なんでヒロインの家族って皆んな○○事故死するの?流行り?)、殺人鬼誕生秘話もあったりするのですが、どの要素も深くは踏みこみません。
本作は70年代後半から、それこそ星の数ほど作られてきたスラッシャーホラーへの愛がつまった作品なので、先人を踏襲している、ただそれだけで作り手も満足なのかもしれません。
そして、昔ながらのスタイルを求めるホラーファンもそれで満足なのです。
ただし、あまりにも踏襲しすぎている為に、先が読めてしまうのを物足りないと思うのも仕方のないところでしょう。
キャンプマーダーとして「13日の金曜日」シリーズ、殺人鬼のビジュアルは「ハチェット」や「マッドマンマーズ」、田舎ホラーなところは「クライモリ」シリーズや「ヒルズ・ハブ・アイズ」等々、色々なホラー映画をリスペクト(もはやパクリと言われても仕方ないレベルで)しているのが丸わかりなので、驚く様な新鮮さはありませんでした。
唯一、なぜイボイボ殺人鬼が生まれてしまったのか?だけは「マジかよ」と半笑いになりましたが・・・
驚くというより唖然(苦笑)。
30年間もお母さんも大変だったろうなぁ・・・
たぶん、罠の達人なんだろうなぁ。
ランボーばりにドデカい動物をハンティングしていたし。
あんなに気が狂いながらも頑張ったのに、最終的にあんな事になろうとは本当に可哀想すぎる。
お母さんは全然悪くないしね。


ゴア描写はドイツの狂った作品とかと比べるとおとなしいものですが、それでもハッキリと千切れた足や内臓を映すので完全にR指定でしょう。
レイティングはどうなっているのかな?
殺害方法は既視感バリバリで、なんら目新しさは無いです。
こういう映画を見慣れているなら、やはり物足りなさも感じると思います。
というか、「クライモリ/デッドエンド」とか「サイレントナイト悪魔のサンタクロース」、それこそジェイソンやヴィクター・クロウリーによる殺人を自分たちで再現したくて我慢ならなかったんじゃないですかね?(苦笑)
ほとんど過去のスラッシャーからの引用でしたよ。
身体両断、人間ミンチ、生首ゴロリ・・・こういった映画のテンプレート通りのゴアゴアが繰り広げられます。
「ここでこう来るだろう!」ってところでその通りに殺されます(苦笑)。
特にセクシー女子が最高に切なくてバカ(苦笑)。
見せ方自体は安定感があるタイミングや撮り方で安心して観ていられました。
ゴア描写の出来映え自体は生々しくて良いのではないでしょうか。
きちんとグロかったです。
う〜ん、ポーランド映画界、侮りがたし!

そして他に何が侮りがたいって、女優さんの美人度(&名前の難しさ)ですよ!
ファイナルガールとなるヒロインも、セクシー担当の女子も、冒頭にチラッと映るモブの女子に至るまで皆さん美しい。
セクシー女子はちゃんと濡れ場もあるし、スラッシャーのテンプレートがこういった部分でもちゃんと守られているのは好印象。
ポーランドのお国柄が窺い知れる若者たちのキャラクター設定も良いし、途中で登場する変態神父や、殺人鬼の説明役でしかない小屋のオッサンも何だかよく分からないけれどいかにも出てきそうなキャラクターでホンワカさせられましたよ。
おデブなゲーマーにはイライラさせられましたが、あいつも可哀想。
いくらゲーム依存といっても、賞金50万ドルがかかった大会の決勝に出られるほどの腕前なのだから立派なもの。
せっかくスキルがあるのに取り上げようとする親もどうかと思います。
生きていけるなら、仕事がネットゲームでもYouTubeでの実況でも何でも良いじゃないですかね。
でも、どうせならゲーマーとしての資質を活かして活躍してほしかったのに、たんなる純情おデブだったのが残念無念。


ラストシーンからすると、想像するに「ハチェット」シリーズのように直後から始まる続編を作りたい気マンマンなのではなかろうか?
まだまだキャンパーはたくさん残っているし、「アドレナリーン!」と叫んでいた変な塾長(?)も健在だし、小屋のオッサンもまだ活躍の余地があるし、何よりヒロインとイボイボ殺人鬼の戦いはこれからの様な気がしますよ!
もし本当に続編作るのなら、少なくとも斬新な殺害方法は必須。
そのあたりをパワーアップさせて、とにかく理不尽なほどに強いイボイボ殺人鬼の過剰すぎる暴力が画面いっぱいに炸裂しまくるスーパースラッシャーが観たいものですね〜!
そして、更に強靭になったヒロインも「アイルビーバック」して欲しい!


NETFLIXにて