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浜の朝日の嘘つきどもとのyadokariのレビュー・感想・評価

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)
3.6
けっこういい映画だとは思うのだが詰めが甘い。経営が成り立たなくなった映画館。一人の女性がやってきて映画館を立て直すために奮闘する。東日本大震災で家族バラバラになった体験をしている生徒をちょっと外れた先生が面倒を見る。その先生が映画好きで、その説明がいい。

フィルム映画にはフィルムとフィルムの間に繋ぎ目があるからそれを隠すために暗闇を作るのだそうだ。光の部分の残像を見て人は感動しているのだ。映画は幻影なのだが、家族も幻想だという。それに気付かされた時に絶望する。その幻想の部分に繋がりを持つ。

だから孤独な者には映画館が必要だという。それははっきり誰にも役にたつものでもないが映画に救われた人がいる。そこまではいい。だけど結局は幻想の部分に期待するしかないという結末になってしまう。疑似家族でもやっぱ愛なんだよな。最後は家族が助けることになる。

愛あるところには憎しみもあるから、そういうのが関係ないところで共同体なり行政が出来ればいいと思うのだ。幻想の部分に期待をしてしまうのは仕方がないことなのか?それはそういう幻想で囲まれていたほうがいいに決まっているんだが、醒めてしまった者には辛い。
(2021年10月02日(土))
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