近本光司

Divine Horsemen: The Living Gods of Haiti(原題)の近本光司のレビュー・感想・評価

3.5
終戦後にパリにもどったジャン・ルーシュがマルセル・モースやグリオールから人類学の手ほどきを受けて、再びニジェールに発ったのが1946年。ルーシュがこの観たのはいつのことだろうか。ソンガイ人を被写体に据えた初期連作に取り掛かっていた最中にすでに見ていたのか、あるいは『メートル・フ』(1954)の頃か。そしてソビエトからアメリカに帰化し、〈マヤ・デレン〉という名のもとにハイチで撮られた映像を目にしたとき、いったい彼は何を考えたのだろうか。と、さまざまな疑問が湧きあがってくる(あとで調べる)。ダンスとトランス。憑依と供儀。小刻みにステップを踏んでいた人びとがどの民族かわすれてしまったけれど、あのエレガンスにマヤ・デレン(たち)がカメラを向けたことは至極自然なことだった。