ちろる

ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウトのちろるのレビュー・感想・評価

3.6
米ピッツバーグの名門カーネギーメロン大で美術史の博士課程に学ぶアビー(クリステン・スチュワート)と駆け出し新聞記者のハーパー(マッケンジー・デイヴィス)の2人は結婚を考えている同性愛カップル。
両親のいないアビーはクリスマスを恋人の故郷で過ごすことにしてプロポーズまで計画していたが、当日になって、ハーパーが家族に2人の関係を隠している上に、まだ同性愛者であることをカミングアウトさえしていないことが判明ふる、

クリスマスの帰省、同性愛のカミングアウトは昨今のアメリカの映画ではよくあるテーマ。
しかしレズビアンカップルをテーマにした作品はまだまだ少なく、本作にバイセクシャルでありLGBT界のリーダー的存在でもあるクリステン・スチュワートを起用したことで作品にリアリティが増している。

因みにこちらの物語の舞台となるペンシルベニア州は、先の大統領選挙でも混戦になったアメリカ有数の保守地盤。
更に愛するパートナーが実家の親の前ではすっかり期待される完璧な娘を演じており、自分のことを第一には考えてくれなくなっていること。
ただでさえ心細く居場所がない状態なのに(お前が味方になってくれなきゃ私どうしたらいいのーー?)となってしまうかなり辛い状況。
次々と想定外の事態が起き、恋人の家族との初めての対面は、ますます大変なものになり、不安を抱えながらのホリデーとなってしまう。

登場人物一人一人を丁寧に描き、それぞれに共感ができるので、ストーリーが進むにつれてどんどん感情移入ができる脚本はよくできていて、
観る前はポップなコメディ系かと思っていたので意外なほどにシリアスで考えさせられる内容だった。

「家族」とは?についても考えさせられます。
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