同い年

ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウトの同い年のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

爆イケスーツスタイルのクリステンと、抱きしめたくなる摩耗したクリステンが味わえるPVみたいな映画。邦題どうにかならんかったか。

マイクロアグレッションのオンパレードで、網羅してるんじゃないかってくらい扱ってる。ハーパーの家族は皆、コメディっぽいキャラ造形だからその分、”悪意のなさ”が強調されててイ゛ー!ってなる。すごい。
観てる私ですら疲弊するのに、恋人の家族にそれを浴びせられてる+恋人は味方になってくれないアビーはどんだけキツイんだよ。私なら2日目でジョンにSOSの電話してピックアップしてもらう。
このモヤモヤターンを充実させて、クライマックスで大爆発させたかったのは分かるけど、カミングアウト後の修復→大団円にもう少し時間割いてもよかったかも。家族がどう変わっていくか、その過程が見たかった。

「差別はたいてい悪意のない人がする」は本当にそうで、ハーパーの両親は家族信仰から無邪気に人を傷つける。
・アビーの両親が死んでるってだけで異常に気の毒がる
・ハーパーがアビーを自室に泊めようとしたら、成人女性が2人で同じベッドで寝るなんてと笑う
・ハーパーの元カレを会食に呼んで勝手に仲を取り持とうとする
・ライリーは優秀なのにレズビアンなのが残念と陰口を叩く
・弁護士を辞めて好きなことを仕事にしてるスローンを知り合いには「元弁護士」の肩書きで紹介する ......
これ全部、田舎だと日常茶飯で浴びるよね。私を上京させた、細かいけど積み重なった大きい理由。

ライリーとジョンが最高のクィアフレンドで救われる。アビーはハーパーよりも、この2人を手放さない方がいい。
TikTok見てると英語圏でも、アビーはライリーとくっ付いた方がいいっていうカプ厨がいっぱいいてウケる。ライリーは真顔で面白いこと言いそうなタイプでいいよね。
確かにハーパーにアビーは勿体ないと思う。両親の前で完璧でいなきゃってプレッシャーから本当の自分を隠してる!って自己弁護してたけど、思い出してみると関係ないとこでも結構嘘ついてるもんな。実は元カレも参加してた家族旅行のエピソードとか、ライリーにした酷い仕打ちとかをアビーに話してなかった。アビーの誠実さに釣り合う誠実さを持ち合わせてないと思う。

ジョンがアビーに「ハーパーが両親にカミングアウトをしないからと言って、それは君への愛とは関係がない」ってフォロー入れてるの優しいね。周りへのカミングアウトを恋人に強制される事例も結構聞くしね。相手が持つ関係性の複雑さを尊重せずに、「愛してるなら」を理由に脅して単純化するのよくない。
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