西木寸

彼女の西木寸のレビュー・感想・評価

彼女(2021年製作の映画)
3.4
Netflixオリジナル作。
水原希子×さとうほなみ×廣木監督。

マイノリティ恋愛逃避行物として、特に次第に加速する「2人だけの閉じた空間」を表現する映像は見事で引き込まれる。
ただし映像の質と物語の素材の良さで持っている映画ってのが、正直な感想。

特に最初の30分は演出と展開ともにひどくて、寄りと長回しショットが説明台詞を強調する為にしか機能してない上、殺人に至る背景が描かれなさすぎて驚くほど唐突で陳腐な展開に見える。

また、掴みで強烈な所から入って、そこに至るまでを後出しで描くって手法はよくあるし、理解できる。
でもこの映画は巻き戻した後に、「最初のシーンに至る背景を描く」と思っていたら、巻き戻し後の話の展開が薄過ぎて、「いや、何故そうなる...」って無茶苦茶さだけが残って続いていく。。

他にも何それ?って思ったのが、
・水原希子の不安定なキャラクターと冒頭からのスタイリッシュっぽい写し方のアンマッチ
・謎の殺人前戯フェラ
・殺人までの動機唐突さ
・殺人後のイェーイ!からのシュン💦からのイェーイ!
・マクドナルド買うだけシーン
・笑えるくらい長い長回し

ただ前半でダサいと感じたストレスも、次第に気にならなくなっていく。
そもそも映像クオリティが抜群だし、主演2人は凄く絵になる。また、寄りのショットが次第に物語が2人だけの物にシフトするにつれて、抜群にハマり出し、「良し悪しを超越したロマンス」に魅力が生まれ始める。
西木寸

西木寸