birichina

きっと大丈夫のbirichinaのネタバレレビュー・内容・結末

きっと大丈夫(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

中盤までは重いテーマをコメディタッチで描いていてよかったが(車から降りようとしている時、美女が目の前を通りかかり、見とれていたら車のドアに鼻をぶつけて鼻血が止まらなくなった、映画好きの不動産屋の女性~実は腹違いの妹~に、「あなた映画監督ですよね」と言われて、まんざらでもない気持ちでいたら、「でも、あなたの作品は1つも見たことないの」と言われてガックリetc.)、後半はがっつりシリアスな作りになって重かった。

ブルーノの主治医は年に一度、骨髄移植が成功した患者をクルーズ船に招いて交流を続けている。その話を聞いたブルーノは、自分もクルーズに招かれる夢を見る。ただし裸足で、船に乗り込むのを躊躇している。このシーンを見て、ブルーノは死ぬのかと思ったが、ラストでブルーノは移植が成功して、家族に見送られてクルーズ船に乗り込む。ハッピーエンドかと思いきや、ある人がこのラストシーンを「家族に見守られて旅立つのは葬式を示唆しているのではないか」と言うのを聞き、確かにそういう見方もあると思った。作品中の会話で移植が成功する確率は20%(10%?)以下と言っていたし…。
でも、たとえブルーノが死んだとしても、ブルーノは天涯孤独になっていた腹違いの妹を実の父と甥姪に引き合わせることができたのだから、その死は無駄になっていないというか、悲しい出来事の中にもポジティブな要素があるのだと伝えたいのかなと思った。


・気に入ったシーン: 夜中に父親が妹を連れてきて、窓から見下ろすと妹が佇んでいるシーン。
・失言、失態の多いブルーノの父親は、いい味を出していた。
・登場人物が善人ばかりだった。
・子供の頃の思い出(①庭で一人でミニカーで遊んでいると柵の向こうから男の子がやって来て、ミニカーを見せてと言って、そのまま持ち去る、②別の日、男の子がミニカーを返しに来る)は、何を示唆しているのか?
・作品は2019年に47歳の若さで亡くなった「こどもたち(I figli)」の脚本家Mattia Torreに捧げられていた。
・「ブルーノのしあわせガイド(SCIALLA!)」の主人公、さえない中年男もブルーノという名前だった。監督はこの名前にどんな思い入れがあるのか? 自分の姓がBruniだから?
birichina

birichina