Horace

ヒッチャー ニューマスター版のHoraceのレビュー・感想・評価

3.5
71点

ルトガー・ハウアーの悪役の才能はよく知られているし、ジェニファー・ジェイソン・リーのカメレオンのようにどんな種類の役でも、特に下品で哀愁を帯びた役でもこなせる能力もある。この非常に効果的なスリラーで最も驚くべき演技は、C・トーマス・ハウエルのもので、彼は98分間のハイウェイでの恐怖の中で、説得力のある狂気を増していく。

ボロボロに傷つき、子犬のような美貌を路上の汚れで隠しているハウエルは、観客のために信頼できる常人の代役を演じている。狂人につきまとわれ、テキサスの裏道に取り残され、見当違いの田舎町の警察から逃げまどいながら、ハウエルの演じる清潔なシカゴの少年は、都会に住む誰もが経験するロードトリップの悪夢に苦しめられる。

エリック・レッドの脚本は、クライマックスのアクション映画的なカーチェイスよりも、心理的な恐怖を利用した序盤のシーンで最も効果的である。監督のロバート・ハーモンは、全体の緊張感が高まる中でも頻繁に休憩を挟みながら、見事なテンポで映画を進めていく。

『ヒッチャー』のクライマックスの残虐行為は、80年代以降、ケーブルテレビやビデオでこの映画を見た観客に、忘れがたいポップカルチャー的な印象を残したのである。
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