おなべ

ヒッチャー ニューマスター版のおなべのレビュー・感想・評価

3.8
◉満を持してニューマスターver.を鑑賞。

◉青年のジム・ハルジーは、仕事の関係でシカゴからサンディエゴに向け、砂漠地帯で車を走らせていた。嵐が吹き荒れる中、沿道に1人のヒッチハイカーを見つけ、退屈しのぎで同乗させる事に。後にとんでもない事件に巻き込まれるとはつゆ知らず…。

◉ジョン・ライダーを演じた《ルトガー・ハウアー》の怪演が光る。登場して早々に「この人、何かヤバい」感を醸し出し、その後も強烈なサイコ感を発揮しながら、疫病神のように主人公を追い詰めてゆく様が、ただただ恐ろしかった。
 
◉また、「一度狙った獲物は逃がさないゾ⭐︎」と言わんばかりのタフさとしつこさは、『デスプルーフ』の狂気のデス・レースを彷彿とさせられた。正直、途中からは主人公の妄想では?と予想していたけど、見事に空振三振!

◉物語としては、無駄を省き、シンプル性を極力切り詰めたかのような感じ。何も考えずに観れるものの、グロ&ゴア描写もしっかり拘っているため、苦手な人は注意。

◉そんな容赦ないストーリー展開が好きな人にはおススメ。個人的には、ご都合主義な演出や展開が気になるタチであるため、本作のように無慈悲で非情な展開には好感が持てる。リアリティがあるかと聞かれれば、若干強引な部分はあるものの、それすら掻き消してしまうほど存在感を放つ《ルトガー・ハウアー》の怪演に高評価。












【以下ネタバレ含む】













◉不思議な縁で繋がっていた2人の関係性がドラマ性を生み、単なる勧善懲悪の物語では終わらせない感情の揺さぶりがあった。

◉そして迎える印象的なラスト。その時は突然訪れる。終盤まで張り詰めていた緊張感がプツッと切れ、何とも言えない感情に。ジョン・ライダーの狂気性を迫力のあるアクションと共に前面に押し出しながら、主人公であるジム・ハルジーの葛藤と成長を描いており、総じて何も考えずに楽しめるシンプル・イズ・ベストの作品だった。
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