エイデン

エスター ファースト・キルのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

2007年、エストニア
芸術療法の専門家アンナは、新たに働くこととなった精神病患者の療養施設“サールン・インスティチュート”へとやって来る
中を案内されていたアンナだったが、リーナという危険な患者が逃亡したという知らせが入り、施設内に警報が響き渡る
驚きながらも別室に避難したアンナは、そこに1人の少女がいることに気が付く
そしてその少女こそリーナであると知り、アンナは驚愕、間もなく彼女は捕まり事態は収束するのだった
その後 アンナは職員からリーナについて説明を受ける
実は少女に見えるが、リーナの実年齢は31歳で、ホルモン障害により成長が止まってしまっているのだと言う
リーナはこの外見を利用して詐欺や殺人を繰り返してこの施設にやって来た、決して油断ならない凶悪な人物だった
そしてその言葉通り、リーナは警備員を誘惑して殺害すると、再び施設を脱走する
その惨状と返り血を浴びたリーナを目撃したアンナはショックを受け、辞職を願い出る
しかしロシアの自宅へ帰宅したアンナは車の荷台に潜んでいたリーナに不意を突かれて殺されてしまう
リーナは逃亡のため、新たな身分を求めて行方不明になった子どものリストを検索
そのまま夜の街に出ると、声をかけて来た警察官に、2003年にアメリカから誘拐されてきたエスター・オルブライトを名乗るのだった
コネチカット州ダリエン
裕福な慈善家トリシアは、芸術家の夫アレンと共に息子グンナーのフェンシングの試合にやって来ていた
4年前 エスターが失踪してからというもの、内に篭りがちとなったアレンを心配するトリシアだったが、そこへ失踪事件の担当だったドナン刑事が現れる
エスターがロシアで見つかったという知らせを聞き、トリシアはモスクワのアメリカ大使館へ飛ぶ
エスターに扮したリーナは、トリシアから疑いの言葉をかけられることもなく、オルブライト家に迎えられるが・・・



奇抜などんでん返しで話題となったサスペンス・スリラー映画『エスター』の前日譚を描く作品

子どもかと思いきや30代の女性という衝撃の正体に驚愕してから10年以上経ち、まさかの前日譚が公開
観客を魅了した前作のオチを“前提として”作られる作品ということで、ぶっちゃけかなり不安要素もあったけど、工夫と仕掛けで上手くやり遂げたと思う

ストーリーとしては、1作目で語られていたアメリカで初めてエスターを引き取った家族の出来事を描いている
少し1作目の内容と矛盾する点もあって疑問符も飛んだけど、肝心の内容としてはヴィランを主人公にしたクライム・サスペンス風に仕上がっていて面白い
更に中盤にはまさかの展開もあり、前作のようなサプライズで一気に作品の味わいを変えてくれる
エスター自身も共感できないサイコパスではあるものの、ヴィランだからこその苦労や翻弄される展開も相まって、悪事のための涙ぐましい努力が何故か応援までしたくなるという、良いキャラの深掘りにもなってる

製作においても涙ぐましい努力は随所に感じられ、あの『エスター』の続編を作るというチャレンジ精神は賞賛したい
またエスターを演じたイザベル・ファーマンも25歳となり(前作の頃は12歳)、9歳に見えるエスターを演じるというのはなかなか困難になってる
そんな中でイザベル・ファーマンは自分で演じることを監督に直談判し、CGも使わずに見事演じてみせた
この辺りは製作も相まってこだわりを感じて好き

ややプロット的にはサプライズ重視な面はあるけど、前作の衝撃に負けないという意欲を感じられる良い作品になってる
引き続きネタバレには気を付けながら観ましょう
エイデン

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