アキヒロ

エスター ファースト・キルのアキヒロのレビュー・感想・評価

3.9
続編だしな…と思って見たら
想像以上によくできててビックリした。

まず序盤で施設から脱走して
失踪少女のふりをして見知らぬ家族に引き取られたエスター。
このあたりはまさに前作がエスターという謎の少女の秘密を暴くミステリーだったのに対して
今作は犯人目線の「倒叙」形式をとっている。
視聴者は当然エスターが31歳のオバサンだという秘密を知っているので、その上で楽しめるように作っている。このへんがうまい。

エスターは必死で取り繕いながら家族の一員として過ごすが、インコとオウムを間違えたり、もう死んだ祖母に「会いたい」と言ってしまったり…
そこへドナウ刑事の捜査の手もおよびハラハラ。

驚いたのが、このエスターを演じるイザベル・ファーマンはCGなしでメイクだけで9歳を演じているらしい。
皮肉なことに、前作『エスター』を演じたときは10歳でありながら31歳のオバサンを演じるという難しい役をこなし、
23歳になった今作では前作よりさらに若い9歳を演じなければならなくなったこと。
ある意味、この部分が彼女の演技に違和感を与え、それが不気味さにひもづいているように思える。

エスターの嘘がどこまで通用するのか……と思っていたら
中盤からガラっと展開が変わる。
そうそうに母親に正体を見破られてしまう。
そして、なんと本物のエスターはとうに兄に殺され、母によってその事実を隠蔽されていた。
このあたりから食事に毒を入れたり、逆にスムージーにネズミの死骸を入れたりと、嫌がらせ大バトルに発展するという昼ドラ展開!!!笑

しかも最後には、何も知らなかった父親が屋根にぶらさがる「妻かエスターかどちらの命を助けるか選べ」という"究極の選択"までやっている。
そこで父はエスターを選んで助けるわけだが…
ひょっとしたら…エスターが男としてアレンのことを愛していたのと同じく、アレンも娘を「わずかに性的な目で見ていた」のかもしれない。
(アレンの描く絵のモチーフは2種類しかなく、娘の絵と裸で泣く女だった)

ラストシーンの業火の中で身なりを整えるエスターの姿が美しくすら感じられた。
アキヒロ

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